8.糖尿病に対する世間一般の認識


以前野球の巨人のピッチャーにガリクソンさんと云う人がいましたが,IDDMの方でした.別に私は野球ファンではないのですが,ある日何気なく元ピッチャーの野球解説者とのインタビュー番組を見ていますと,その解説者が“ガリクソンさんは子供の時から糖尿病と聞きましたが子供の頃からいいものを食べ過ぎたのですか?”等と質問したので私はびっくりしてテレビの前に座り直しました.ガリクソンさんがどう答えるか聞きたかったからです.しかしさすがにガリクソンさんは,そうではなくて1型の糖尿病なんだよ,と丁寧に答えておられました.もしかすると日本でうんざりする程その手の質問を既にされていたのかも知れませんがその冷静な受け答えは立派なものでした.別にその解説者を責めるつもりはありませんがこう云った認識で捉えられている事に糖尿病と云う疾患の啓蒙の甘さを思い知らされました.勿論これは我々糖尿病医の責任でもあるのでしょう.1型に限らず2型ですらその発症の引き金は肥満等でありますが本来はそう云う糖尿病素因(まだ原因は究明されていない)が原因になっているのですからその人の生活スタイルに対して非難を投げ掛けるのは余りにも安易と云わざるを得ません.その糖尿病素因がなければ幾ら食べようが糖尿病は発症しないのですからね.マスコミの報道にもその責任の一端があると思います.  さて一般生活においてもたびたび耳にする会話.“まあまあこれぐらいは食べても大丈夫”とか“ちょっとぐらい血糖が高くっても大丈夫”等と云う無責任極まりない発言に大いに憤りを感じます.特に本人が糖尿病(又は控え気味に医者に血糖が高めだから注意せよと云われている)と宣言しているのに判っていながらそう云う事を云う人を見るともっと強力な啓蒙活動が必要と感じます.幸いインターネットが普及するにつれて徐々にそう云った正確な知識は知れ渡って来ると思いますが(少し楽観的かも知れません)何らかのムーブが必要になっていると思います.ましてや就職差別等の事を耳にしますと出るのは溜息ばかりです.全ての人が糖尿病の知識を得るのは不可能にしても地道にネット上等でも活動が必要でしょう.又,糖尿病の方にお願いしたいのはネット上ではハンドルネームで通るのですから是非,いろんなところで“糖尿病だよ”とカミングアウトして知識の普及に努めて欲しいと云う事です.


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