6.インスリン注射の開始等


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 HbA1cがずっと8〜9%の患者さんがずっとおられまして,もう既に他の医療機関でグリミクロンが目一杯まで入っており,インスリン抵抗性改善剤を重ねたいものの肝障害があって出来ない.当然インスリン治療の適応なのですが,やっぱりなかなか踏み切れないでおられました.その方が先日別の疾患で某病院に行かれた時,こんな血糖コントロールでは手術が出来ないと云われとうとう決心してインスリンを開始される事になりました.本当はこちらがその必要性を充分説いてインスリンに導入しなければいけないのに,まだまだ力量不足ですねえ私も.

 それは兎も角,入院して血糖コントロールを勧められ私も2〜3週間だから入院してみるといいですよと云ったのですが,どうしても諸々の事情で絶対入院は無理と云う事で,外来でインスリン導入することにしました.とても怖がりの方で自分で針を刺す事は絶対出来ないとおっしゃるので,先ずは一緒にノボレットのセッティングから始めて毎日診察室で練習している内に段々慣れてこられて今では自己注射をしておられます.でも大概の方は“やってみたら意外と痛くない”とおっしゃられます.現在のインスリン注射の針の太さは30G(ゲージ)と云う非常に細いものです.ちなみに普通味わうあの“痛い”皮下又は筋肉注射に使用する針は23Gで7段階も太さが違うものです(数字が大きい程針は細くなる).

 こう云う事もあるので今現在インスリンを勧められているのにためらっておられる方に申し上げたいのですが,正直云って糖尿病専門でやっているところでそろそろインスリンと云われたら余り心配せずに始めた方が手遅れにならなくて良いかと思います.実際70歳を越してからインスリンを開始された方も幾らでもおられます.

 やっぱりズルズルと経口血糖降下剤だけで,良くないコントロールのまま放っておくのは合併症の事を考えると止めるべきでしょう.ホントに私達はいつ何かおこるかとハラハラしているのが本音です.特にここを読まれるような働き盛りの方が突然脳梗塞や心筋梗塞をおこされるのは,なんの原因もなくて急になるのではなく,糖尿病や高脂血症等の基礎疾患を持っておられる方が殆どなのです.それでも軽く済めばいいですが,後で後悔する自体になると私達も物凄く責任を感じてしまいますし,何よりもあなた自身が困りますよね.


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